第39回 東海若手セラミスト懇話会
2009 年秋期講演会 実施報告

東海若手セラミスト懇話会第 39 回秋期講演会
日本セラミックス協会東海支部


 去る平成21年10月30日(金)、名古屋大学におきまして、第39回東海若手セラミスト懇話会2009年秋期講演会を開催致しました。(共催:日本セラミックス協会基礎科学部会、日本化学会)

 今回は講演3件というプログラムで開催されました。招待講演として豊橋技術科学大学 逆井基次先生、名古屋大学 鈴木秀士先生、若手セラミスト基金 国際セッションとして東京工業大学 金聖雄先生から、それぞれ「圧子力学の歴史背景と物性評価への適用」、「走査探針顕微鏡法・顕微分光法による触媒表面分析」、「Cement for Electronic Materials」と題してご講演いただきました。逆井先生からは、圧子力学の歴史的な背景から基礎を先生のご研究の歴史も交えて興味深くわかりやすくご説明いただき、また物性評価への適用について貴重な写真を多く用いてお話いただきました。難しい数式をできるだけ使わずに理解できるようにスライドをご準備いただきました(写真1)。また、鈴木先生からは、非接触原子間力顕微鏡(NC-AFM)と放射光X 線を組み合わせた新しいナノ化学分析顕微法 X 線支援非接触原子間力顕微鏡法(XANAM)の開発について、XANAM 法の原理検証実験からイメージングへの展開までを順にそのアイデア、実験結果と解釈を詳しくご説明いただきました。今後の目標についてもお話いただきました(写真2)。金先生からは、Ca, Al, O というありふれた元素(ユビキタス元素)から構成される典型的な絶縁体であるC12A7 を母体とした物質が、金属伝導、さらには超伝導を実現したという研究成果についてお話いただきました。成功の鍵や研究の困難さ、実際の材料としての課題などをユーモアあふれるお話で楽しくご講演いただきました(写真3)。さらに、3件の講演に対する学生さんの質問の中から、ベスト質問賞をそれぞれ1名ずつ選出し、名古屋工業大学の大橋敬之さんおよび村田章太郎さんと、名古屋大学の松本千誉さんがそれぞれ受賞されました。ベスト質問賞は若手セラミストによる、より活発な議論を奨励するために毎年設けておりますが、今回も多数のレベルの高い、また興味深い質問がなされ、講師の先生方より高い評価を頂戴しました。次回以降も積極的な議論への参加を期待します。

 講演の後は意見交換交流会を開催しました。大学、企業、研究機関の若手セラミスト達がにぎやかに議論、意見交換を交わしました。今回は大学、企業、研究機関などから88名の参加があり、その内、学生が54名参加しました。本会が盛況のうちに終わったのも、講師をはじめ、参加者の方々のご協力の賜物と心から感謝申し上げます。


ベスト質問賞受賞者(敬称略)
講演1村田 章太郎(名古屋工業大学)
講演2松本 千誉(名古屋大学)
講演3大橋 敬之(名古屋工業大学)

文責:名古屋大学 吉野 正人


写真(画像をクリックすると拡大表示されます。)

invite lecture
写真1
invite lecture
写真2
ceremony
写真3


2009年11月6日