54回 東海若手セラミスト懇話会
2017
年 夏期セミナー開催報告

東海若手セラミスト懇話会
日本セラミックス協会東海支部


629()30()2日間,日本セラミックス協会東海支部東海若手セラミスト懇話会2017年夏期セミナーが静岡県浜松市の浜名湖ロイヤルホテルにて開催されました.今回は84(講師3名,学生44名,一般37)の参加者を集め,招待講演3件,テーブルディスカッション49(学生38件,一般8件,企業紹介3),学位論文紹介1件,海外報告1件の発表が行われました.特に今回はテーブルディスカッションでの活発な議論を期待して説明時間を延長させ,例年のプログラム順序を入れ替えた形で実施しました.以下,進行順に内容を報告いたします.


1日目 定刻どおり岐阜県セラミックス研究所の尾畑運営委員代表の挨拶により会が始まり,東海若手セラミスト懇話会の取組,活動目的等について説明され,活発な議論と積極的な情報交換,交流を行っていただくよう挨拶がありました.

招待講演1として, 福島大学の中村和正先生より「ヨウ素処理を利用したバイオマスからの機能性炭素材料の創製」と題してご講演頂きました.(写真1)炭素材料源として有用なバイオマスの有効活用を目指し, バクテリアセルロースの機能性炭素材料への応用などをご紹介いただきました.特にヨウ素処理により, 木材内の分子安定化が可能となり, 炭素化収率の増加や木材の組織が元の状態のまま炭素化することが可能となることをご説明いただきました. また, 炭素繊維強化炭素複合材料への応用や, 機能性材料として磁性流体へのバクテリアセルロースの適用など, 炭素材料の幅広い応用範囲をお示しいただきました. コンポジット材料のフィラーとしてだけではなく, 機能性材料としての炭素材料を知る機会となる貴重な講演であり,多くの学生さんからの質問がありました.

続く学位論文紹介では, 名古屋工業大学のHadi RAZAVI KHOSROSHAHI氏が「Fundamental Study on Fabrication and Microstructure of Y2O3 Based Composites」というタイトルで,イットリアの優れた特性や応用例などを交えながら, 焼結方法やドーパント種の検討などによる機械的特性向上方法について,研究や開発で役立つ内容を含む学位論文を紹介していただきました.(写真2

テーブルディスカッションのアピーリングタイムが,招待講演1の後と学位論文紹介の後に行われました.夕食後に行われるテーブルディスカッションについて一人1分の持ち時間で1枚の資料を使って説明が行われました.限られた時間の中でも効果的なスライドを使った分かりやすい説明が多く見られました.

夕食を兼ねた意見交換会が,宴会場で行われました.(→写真3)大学,研究室,企業の垣根を越えた交流が随所に見られ,活発な意見交換が行われました,中締めの挨拶の後も,学生や教員の会話が途切れることなく続き,テーブルディスカッションが始まる直前まで意見交換が続いていました.

テーブルディスカッションは,49件の発表を4グループに分け,コアタイムを設定する形で進められました.(写真4)このテーブルディスカッションとは,本会では恒例となっているポスターセッションの変形版で,発表ポスターをテーブル上に並べて発表する形式です.今年は企業紹介3件を含んでおり,セラミックス関係に従事したい学生さんが興味深く質問されておりました.また,セラミックスをキーワードに東海地方の大学,研究所および企業から多種多様な研究発表がなされ,それぞれのポスターの前で熱心な討論が遅くまで続けられました.なお,招待講演の講師の先生と参加者の投票により選ばれた優秀な発表に対して,最優秀発表賞(1件),優秀発表賞(4件)が贈られました.受賞者氏名,所属と発表題目は,本報告の最後に記したとおりです.熱心な議論や交流は,場所を移して催された二次会の会場で,深夜遅くまで続けられました.


2日目は,鈴鹿工業高等専門学校の和田憲幸先生による「希土類および遷移金属イオンの蛍光とホスト物質との関係〜ガラスからセラミックスへ〜」と題した招待講演2で始まりました.(写真5)光機能材料の基礎から,ガラス組成による蛍光分光特性の制御,添加元素とガラス組成の関係などといった応用に近いところまで,多岐にわたり非常に興味深い内容をお話しいただきました.また, 近年手がけられているセラミックスの蛍光についてもご説明いただきました.昨日は遅くまで活発な議論をされていた学生さんですが,質疑応答でも引き続き深い議論が交わされ,朝から有意義なセッションとなりました.

続く招待講演3では,東京大学の齋藤継之先生から「セルロースナノファイバーの基本特性」と題してご講演頂きました.(写真6)近年, 非常に注目を浴びているセルロースナノファイバーについて, 簡便な作製方法から得られるセルロースナノファイバーの高い諸特性や, 「透明な紙」など新規機能性材料としての大きな可能性についてお示しいただきました.特に,セラミックスなどとコンポジット化することにより, フレキシブルガラスやエアフィルタ, 無機ナノ粒子の担持・固定化など, 様々な応用が可能であることをご説明いただきました. 多くの学生さんに興味を持っていただけたと見え,活気ある質疑応答がされておりました.

最後に海外報告として,名古屋工業大学の白井孝先生より,スイスのEmpaに海外赴任された際の生活についてご報告していただきました.海外での研究や生活など,日本では味わえない興味深い内容をお話しいただき,海外留学に挑戦したい学生さんの意欲をより奮い立たせたのではないのでしょうか.

セミナーのおわりに,テーブルディスカッション優秀発表賞とベスト質問賞の発表と表彰を行いました.最優秀発表受賞者の名古屋工業大学・加藤邦彦さんには,副賞として尾畑代表からマグカップが贈られました.(→写真7写真8

例年本セミナーでは,クール・ビズスタイルでの参加を呼びかけており,今回もそのリラックスした雰囲気の中で活発な討論が行われました,また,合宿形式ということもあり,学生,教員を問わず多くの方たちが親睦を深める良い機会になったと思われます.この場をお借りして,次回にもより多くの方々のご参加をいただけますよう,ご案内する次第です.


優秀発表賞受賞者(敬称略)

最優秀発表賞

加藤 邦彦

名古屋工業大学

「マイクロ波加熱スイッチングによる酸化物合成と光触媒材料への応用」

 

優秀発表賞

清水 和加子 

名古屋工業大学

ミリング処理によるアルミナ粒子表面状態変化と分散剤吸着量への影響

小島 鈴果

愛知工業大学

「タンパク質選択的吸着特性を示すペプチド含有リン酸カルシウムナノ粒子の合成」

地多 玲子

名古屋大学

「セラミックコアシェル蓄熱体の内部構造と伝熱特性の評価」

羽田 光希

岐阜大学

「焼結鍛造による1000°C以下での正方晶ジルコニアの緻密化の試み


ベスト質問賞受賞者(敬称略)

加藤 邦彦

名古屋工業大学

渡邉 脩人

東京工業大学

前川 啓一郎

豊橋科学技術大学

written by 三村 憲一(産業技術総合研究所)


写真


2017722日更新


写真1 招待講演1

写真2 学位論文紹介

写真3 夕食の様子

写真4 
テーブルディスカッション

写真5 テーブルディスカッション

写真6 招待講演3

写真7 最優秀発表賞表彰

写真8 最優秀発表賞表彰副賞