第59回
日本セラミックス協会 東海支部

東海若手セラミスト懇話会
秋期講演会

 2019年10月11日(金)にファインセラミックスセンターにおきまして,第59回秋期講演会を開催いたしました.(共催:日本化学会,協力:日本セラミックス協会基礎科学部会)

 以下,進行順に内容を報告いたします.


 今回は招待講演2件とファインセラミックスセンターの実験装置見学というプログラムで開催されました.


 1件目の招待講演として,ファインセラミックスセンター 田雅介所長より「セラミックス半導体におけるExtremaの研究」と題してご講演いただきました(写真1).ご自身のこれまでの研究生活における「失敗は失敗ではなく,失敗は成功の元」といった経験をZnOや高温超電導材料であるGdBa2Cu3O7-dでの研究実例をご紹介いただきながら,研究やそれらによって得られた結果に対する姿勢や考え方といった若手研究者にとって大変参考となる内容についてご講演いただきました.


 2件目の招待講演として,物質・材料研究機構 鈴木達先生より「強磁場を用いたセラミックス微構造制御プロセスの開発」と題してご講演いただきました(写真2).コロイドプロセスを用いた超塑性セラミックスの開発においてAl2O3-ZrO2セラミックスの超塑性変形する特性が得られた例や結晶磁気異方性を利用した磁場配向セラミックスの開発にてAl2O3や現在注目が高まっているLiCoO2焼結体を用いて配向を制御することによる特性の変化についてわかりやすくご講演いただきました.


 講演後には実験装置見学を実施しました.戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環でファインセラミックスセンターが実施してきましたEB-PVD成膜装置やレーザー焼結装置,太陽光集光集熱装置の他,10台保有する電子顕微鏡の中からガス導入や温度制御が可能な環境制御型透過電子顕微鏡や近年の材料開発で欠かすことのできないツールとなっているFIB-SEMによる三次元構造解析に関する取り組みに関して見学を行いました.


 見学の後は意見交換会を開催しました.大学,企業,研究機関の若手セラミスト達がにぎやかに議論,意見交換を交わしました.併せて,先に実施された2件の講演に対する学生さんの質問の中から,ベストディスカッション賞をそれぞれ1名ずつ選出し,表彰を行いました.ベストディスカッション賞は若手セラミストによる,より活発な議論を奨励するために毎年設けておりますが,今回もレベルの高い,また興味深い質問が多数なされ,講師の先生方より高い評価を頂戴しました.次回以降も積極的な議論への参加を期待します.なお,受賞者の氏名と所属は,本報告の最後に記した通りです.


 最後に本会が盛況のうちに終わったのも,講師をはじめ,参加者の方々のご協力の賜物と心より感謝申し上げます.


ベストディスカッション賞 (敬称略)

講演: 招待講演1 質問者: 三崎 達大 大学: 豊橋技術科学大学
講演: 招待講演2 質問者: 伊藤 駿斗 大学: 岐阜大学

写真

招待講演1風景
招待講演1

招待講演2風景
招待講演2


文責:横江大作 (JFCC)


作成日時:2019年10月25日