キャピラリ透過モードによる多連装測定を行う前に,今までのデータをファイルに保存,さらに他のパソコンにデータを転送して, 新しい Igor エクスペリメントファイルを作成しなおすことを推奨します。 このためには以下の操作を行います。
(1) Igor の [File] メニューから [Save Experiment] を選択して,現在のエクスペリメントファイルをそのまま保存します。 [Save Experiment] が選択できない状態になっている場合には,既に保存済みであることを意味します。
(2) 別のパソコンで FTP サーバを起動します。
BL-4B2 実験ステーションの GATEWAY パソコンで Tiny FTP Daemon を起動すれば,ホスト名:mdspc1.kek.jp として,
FTP サーバが起動します。
(3) Dell Dimension 2400 から FTP クライアント (FFFTP) を起動し,
保存されているエクスペリメントファイルを FTP サーバにアップロードします。
この操作により,現在のデータの複製を異なるパソコン上に保持することができます。
同じ FTP ユーザアカウントを他のパソコンで使用しなければ, FTP クライアントは起動したままでかまいません。
(4) Dell Dimension 2400 で起動している Igor の [File] メニューから [Save Experiment As...] を選択して, 新しいファイル名でエクスペリメントファイルの複製を保存します。
(5) [MDS] メニューから [Delete All Scan Data...] を選択して,すべてのスキャンデータを消去します。 この前に過去のデータが確実に保存されていることを確認してください。
(6) [File] メニューから [Save Experiment] を選択して,現在のエクスペリメントファイルを保存し直します。
(1) キャピラリ回転試料台に,試料を充填したキャピラリを設置します。
(2) 実体顕微鏡で観察しながら,キャピラリの芯出しをします。
(3) 試料を取り付けたキャピラリ回転試料台を回折計のΘ軸に取り付けます。 透過率測定を行う場合にはビームストッパをはずしておきます。 スライドスイッチによりキャピラリ回転試料台の回転を開始します。
(1) 10 mm の幅制限スリットと, 0.05 mm の高さ制限スリット,適切なアッテネータ(減衰板)を設置します。
(2) No. 1 検出器とアナライザを,「アナライザの退避位置」に移動します。
(3) キャピラリの太さよりも広い範囲のゴニオベーススキャンを実行します。
(4) ゴニオベーススキャンの強度図形から,キャピラリの中心位置と透過率を求めます。
(5) キャピラリの中心位置にゴニオベースを移動します。
(1) 10 mm の幅制限スリットと, キャピラリの太さ以上の高さ制限スリットを設置します。 ビームストッパを取り付け,アッテネータ(減衰板)を取り外します。
(2) No. 1 検出器とアナライザを所定の位置に戻します。
(3) 0°から 5°の範囲の2Θスキャン測定をします。
(4) 2Θスキャン測定の結果から,ビームストッパでビームが遮られている範囲を判断します。 必要があればΘ軸の角度を変化させることによりビームストッパ位置を変更し, 必要な範囲の回折データが得られる条件を探索します。
(1) [MDS] メニューから [Comment Editor control panel] を選択して「Comment Editor」コントロールパネルを表示します。 「Target for Edition」に,未使用のバッチ番号のうち最も若い番号を入力します。 使用するスリットなど必要な情報を入力したら [Save Comment] ボタンをクリックします。
(2) 「Scan Control」と「Comment Editor」コントロールパネルから測定条件を編集します。
「Scan Control」パネルの Data Save & Plot セクションで,
保存データ (Save) として c1〜c5, cm, c6 (dif.), en がすべてチェックされていることを確認します
(通常,c6 (int.), xx, tm を含めたすべての項目をチェックします)。
左軸プロットデータ (Plot Left) として c1〜c5, c6 (dif.) をチェックし,
右軸プロットデータ (Plot Right) として cm をチェックします。
繰り返し回数 (Repeat) は 1 回とします。
残っているビームタイムに合わせて,最適な単位計数時間 (Unit FT) とスキャン範囲を設定してください。
キャピラリ回転試料台の回転速度は1秒間に1回転に固定されているので,単位計数時間は 1 s の倍数にしてください。
[MDS] メニューから [Predict Measurement Time...] を選択し,
測定するバッチ番号の範囲を指定すれば,コマンドウィンドウに所要時間の目安が表示されます。
(1) モニタカウンタのカウント率が 40,000 cps 程度以下になるように, モニタカウンタの受光部上部にアパーチャ(開口)制限板を挿入します。
(2) 測定を開始します。
「Scan Control」パネルから Target for Edition として該当するバッチ番号を選択し,
[Batch Scan...] ボタンをクリックして開始/終了バッチ番号に該当するバッチ番号を指定し,[Continue] ボタンをクリックします。
[Batch Scan...] ボタンにより起動するバッチ測定を中断する必要があれば,
「Igor」ウィンドウの左下隅に現れる [Abort] ボタンをクリックします。
(3) 測定が完了したら,
Igor の [File] メニューから [Save Experiment] を選択して,
測定データを含むエクスペリメント (.pxp) ファイルをそのまま保存し,
別のパソコンに転送してください。
(4) 別のパソコンで校正データを含んだ Igor エクスペリメント (.pxp) ファイルを開き, [MDS] メニューから [Save Data All-Arm Scan...] を選択して, 保存するデータと保存場所を指定すれば,多連装測定結果のデータファイルが作成されます。
2008年1月7日